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2010年02月17日

●2/17up【声明】地方財政を揺るがす臨時財政対策債の増発に反対し、持続可能な財政運営を求めます

2010年2月17日 みどりの未来・運営委員会
■地方財政計画−「実質的な交付金の増額」は本当か?危うい実態の検証必要
 2010(平成22)年度の地方編成に向けて、昨年末に総務省から「地方財政計画」が示されました。総務省が毎年示す地方財政計画は日本全体の地方自治体の財政を予測する統計的要素と国(特に総務省)が地方財政にどれだけの国の予算を使うかの政策決定後の姿とも言えます。
 交付税が増額されるのは3年連続となり、1兆円以上増えるのは11年ぶりとなります。総務省は「地域から寄せられた課題に応えられた。200点満点の成果だ」(原口総務相)と胸を張り、「地方財政計画のポイント」でも「実質的な地方交付税は3.6兆円増」とその成果を誇っています。しかしその中身を検証すれば、かなり危険なものであることがわかってきます。

■税収減で実際は伸びは無い
 問題点は3つあります。
 まず、今回の増額は税収減と相殺すれば実質は伸びがゼロとなっていることです。
 大きく言えば、地方交付税交付金は税収の足りない部分を補うという構図になっています。また、臨時財政対策債は交付金という「現金」の代わりに、「借金してもいいですよ、その代わり後で面倒を見ます」という仕組みになっています。税収に変動があってもこれらの仕組みにより調整されるので、普通の自治体では「税収+地方交付税交付金+臨時財政対策債」はほぼ一定と言えます。このうち「地方交付税交付金+臨時財政対策債」を「実質的な交付金」と言い、鳩山政権はそれが大幅な増加になっていると宣伝しています。
 しかし、実は税収は日本全体では3兆5000億円以上(10%)も落ち込んでおり、これを穴埋め・調整する形で「実質的な交付金」を増額しただけと言えるので、地方の「収入」総額は変わらないのです。逆に税収が落ち込んでいる分、無理な背伸びをしたために、次はもっと大きな経済成長が必要となってしまいます。この経済状況の中で無理な見込みであり、これは痛みを先送りしたに過ぎないものと言わなければなりません。

■持続不可能な単年度の政治的積み増し
 次に、政治的積み増しの問題点です。
 そもそも地方交付税交付金は、例えば「この市で保育園はいくつ」というような基礎数値を全国的に積み上げ、その自治体の収入との差を交付していきます。この原則を無視した「政治的積み増し」により、今回の増額が行なわれました。
 鳩山政権は、麻生政権時代の「地域雇用創出推進費5000億円」を全額削除し、露骨な「目玉」として「地域活性化・雇用等臨時特例費9850億円」を創出しています。そもそも、福田政権時代の「地方再生対策債」や麻生時代の「地域雇用創出推進費」自体、政治的に積み増しをした選挙対策の要素が強く、地方交付税交付金制度との整合性が取れないものでした。今回、そうした手法を拡大・加速させているのです。
 しかも、この措置は単年度ですから、「増額」と胸を張った1兆円が、2011(平成23)年度以降、まずいったん減る事になります。 その後の動きは全く不透明です。

■お金をまわすための借金「臨時財政対策債」
 3つ目で最大の問題点は臨時財政対策債です。
 実質的な交付金の伸びの中身は、すでに述べた政治的積み増し約1兆円に加え、臨時財政対策債の発行可能額を前年度比で50%も増加させた2.6兆円(日本全体で5.1兆円→7.7兆円)の合計です。実は前年度である2009(平成21)年度も、それ以前から80%(2.5兆円)増加(2.6兆円→5.1兆円)ですから、その伸びは大きなものとなっています。まさしく総務省自らが認めるように「急増」なのです。
 借金には、合理的なものと、そうでないものがあります。例えば学校や道路などの社会基盤整備のように、後年度の利用者との平等な負担を考えて必要なものがあります。家計で言えば「家や車のローン」にあたります。また、将来の地域経済の活性化や雇用拡大につなげる投資として、的を絞って選択的に資金を投入するために必要なものもあるでしょう。
 ところが、収入増や返済の見込みのない中で、有効性や波及効果の検証も無く借金を繰り返し増額することは、最悪のものと言えます。家計や収入を無視してクレジットカードでキャッシングを繰り返すようなものです。臨時財政対策債は、ここ数年増加した他の借金とともに、この「最悪の借金」となっています。これをさらに増やそうとする政策を取り、それを以って「地方への配慮」であると宣伝する鳩山政権の姿勢は、将来への財政責任を果たそうとしていないもの、と言わなければなりません。

■今こそ持続可能な地方財政の中長期の計画を
 このように、2010(平成22)年度地方財政計画は、「地方を重視」という派手な宣伝とは大きく異なり、実際は参議院選挙を意識した単年度のバラマキに過ぎない、と分析することができます。
 しかし、実はこの手法は、自民党政権でも小泉政権以後、安倍・福田・麻生と三代3年間続けて用いられてきた(2007〜2009;平成19〜21年度地方財政計画)ものでもあります。こうした無理を続けてきた結果、地方財政計画は毎年コロコロ変わる不安定なものになっています。今年2010年に参議院選挙が終わり、大型の国政選挙が一段落する来年度以後、地方財政の行方は極めて不透明です。
 長く続いた自民党政権、そして現在の鳩山政権においても、今の政治に不足しているのは、「財政のツケを後の世代に回さない」姿勢です。そのために真剣に議論して支出を削り、また、5年や10年単位の中長期の単位で政策を示すことが必要です。
 地方財政計画で言えば、毎年の政治力学による変動を避け、持続可能な中長期財政運営ができる計画づくりこそが望まれます。まず、市民やNPO、地方団体の代表、政治家が中心となって公開の場で議論し、5年程度の「中長期地方財政計画」を決定し、それに従って単年度の地方財政計画を作ることも必要と言えます。
 戦後、内務省の廃止に伴って設置された「地方財政委員会」(第一期)や、その後設置され自治省に引き継がれた同委員会(第二期)のように、国家と地方の代表者がその公益と自主権を調整し、地方財政を整備するような機関がありました[註]。こうした仕組みを強化しながら復活・発展させることも検討すべきです。また、東京都と23区の法定協議会において都区財政調整交付金(地方交付税交付金と同様の制度)や権限移譲の方向性など重要課題を協議し決定している例、また、そこから発展して「都と区」のあり方を議論して研究し、権限移譲の方向性を決定している例などもあります。
 私たち「みどりの未来」は、目先の政争や人気取りのためにツケを後の世代に回す政治に対し、持続可能な経済社会の基盤としての市民主権・自治と自律に基づいた国と地方の新しいあり方を具体的に提案し、日本の未来を示して行きたいと考えます。


[註] 以下参照。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%B2%A1%E6%94%BF%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A


posted by 事務局 at 10:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 政策・論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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