政府は定額給付金を「百年に一度」の「世界同時不況」への対策だと説明しますが、最大問題は、明確な理念や目的、この危機を招いた経済システムへの反省に基づく将来への戦略性がまったくないことです。特に目的が「住民への生活支援」なのか「地域の経済対策」なのかが曖昧な、きわめて中途半端な政策になってしまっています。一回きりの少額給付では、2兆円に見合うだけの経済効果は到底のぞめません。一方で、実施に向けて議論が進めば進むほど下図中「実施するとして」の論点のように、給付を必要とする「弱者」には届きにくいという問題が明らかになっています。
私たち「みどり」は、現在の経済指標でいう限りの「不況」は5年単位で続くと見通し、対応策を考えるべきだと考えます。そこで私たちが提言するのは、短期的な「生活支援」を実施し「痛み」への配慮を行いつつ、長期的な「政策的投資」により経済構造転換を図るというものです。これら二つの明確な政策目的を持った二通りの政策群を実施すべきです。
生活支援としては、生活保護制度の徹底活用に加え、たとえば無料の教育・職業訓練とセットで失業者全員に月15万円程度を給付するなどを提案します。
一方の政策的投資は、前提として、現在の経済指標を置き換える新たな指標の導入が必要です。例えば、地域にどれだけ残って還流する使い方なのかという「地域内乗数効果」、他の分野への影響を考える「波及・相乗効果」、利益ではなく、雇用数で考える「雇用創出力効果」といった新指標で経済の構造転換を測定すべきです。
そして構造転換はゆるやかに、「既存産業を『みどり』化しつつ縮小」「脱成長型産業の育成」という両面から行われるべきだと考えます(左図参照)。こうした先の見通しを構想しつつ、大規模な(10兆円規模)政策的投資を実施すべきです。
二十年三十年先の未来に向けて、今年をその第一歩とする必要があります。第二、第三の「定額給付金」のような無駄遣いを許さないためにも、私たちはあるべき未来の理念を訴えます。
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